『因果鉄道の旅』(根本敬)

仕事関係のものと併せて昨日Amazonで注文した書籍が届いた。本書と『利己的な遺伝子』と『ヒップ-アメリカにおけるかっこよさの系譜学』の三つ。


今やサブカル界では知らない者はいない名言、「でもやるんだよ!」の初出が収録されている。著者の根本敬は自称「特殊漫画家」で、一体何なのかと問われると返答に窮するが、短く言うならば、「ガロ」の人ということですなあ。かつてヘタウマ漫画がブームになった時は割と幅広く描いていたみたいだが、まあ、「ガロ」です。


などと書いてはみたものの、私はこの人の漫画をちゃんと読んだことはない。すまん。


本書は、著者が今までに出会ったちょっと(だいぶか?)アレな人々を「駅」に、それらの人たちと出会う自らを「鉄道」に喩えた、アレな話がつまったもの。のちに村崎百郎と『電波系』という本を出すが、この本にはだめなサイコパスと、電波な人で溢れている。


本書を買ったのは、著者に興味はあったけど漫画も本も高い(と言ってもたかが知れてるが)から、今まで敬遠していたが、文庫になっているのをAmazonで発見したから。いきなり頭から滅茶苦茶な人の話で、読んでいて眉をひそめてしまうものの、でも面白いから読み進めちゃう。結局がーっと全部読んでしまった。上の画像は単行本版のもの。こっちのカバーの方が好き。


有名人だけでも相当アレな人との交流がある。まあ詳しくはWikipediaさまでも見てくださいな。取材手法、というか取材ですらないのかもしれない、が例えば「対象者がいない間に家に忍びこむ」なんてもので、とにかく対象と近い近い。そんなことできる人はそうはいないはず。だって疲れちゃうもん。それ以前に違法か。


中身の話はいいとして、本書の根底にある(であろう)、「運命(この本の中では『如何なる星の下に』の“星”)」について読後何となく考えざるをえない。


 「犬も歩けば棒に当たるというが、その偶然行き当たった棒には、往々にして、その人のホシが、世界が、宇宙が象徴されている場合が多い」


と、あとがきにもあるが、私の棒は何なのか。


少なくとも、あの会社で定年まで勤め上げることではなかったようだ。今のところ、それっぽい要素は、精神を患い、32歳にもなって素人童貞であることくらいか。だめな感じは漂うが、まだまだホンモノにはほど遠いのお。


しかしだ。そのホシが何だろうと、「でもやるんだよ!」の心構えでやるしかないよねー。