ゴッド・ブレス・アメリカ

こんばんは。ご無沙汰してました。何しろ、元気がなかったもんで。今日は映画の日だったので、映画を見てきました。


お話は。


妻と別れ、会社をクビになり、手術不可能な脳腫瘍まで見つかってしまった男、フランク。お先真っ暗な彼は、自殺を決意する。自殺の前に、たまたま見たリアリティショーに出ていた金持ちで我儘な女子高校生を気まぐれでぶっ殺したところ、変な女子高校生がフランクについてきた。


女の子にモーテルの部屋まで来られたフランクは、彼女を追い返そうとするが娘(?;別れた奥さんかも)に宛てた遺書を読まれてしまい、「あんたが今死んだら、マスコミ共は女子高生ストーカーのキモいオヤジが彼女を『モノにできなかった』から相手を殺して自殺したと報道するでしょうね。自殺するくらいなら生きていてもしょうがない奴らをバンバン殺すのよ。次はさっきの金持ち女子高校生の親を殺しましょう」と自殺を思いとどまるように説得されて…というもの。


当然、説得されたフランクは自殺するのをとりあえず止める。止めなかったら映画終わっちゃうし。そんで、リアリティショーに出ていたバカ親を皮切りにアメリカを旅しながら、生きていてもしょうがない奴らをその変な女の子と一緒に殺して回るのだ。


フランクは、アメリカの人々が、消費されるだけのレベルの低い娯楽と、差別的な発言を繰り返すキャスターやラジオDJ、スターのくだらないゴシップのせいで他人に対して無礼な態度を取るようになり、かつそのせいでみんながバカになってしまったことに憤っていたので、殺す相手は沢山いた。


映画館で騒いでいる奴らを殺し、駐車場で傍若無人な振る舞いをする奴を殺し、キリスト教原理主義者たちを殺した。どこまで行っちゃうのかは、観る方もいるかもしれないので控えます。


無礼と不寛容に憤る人間が、そういう人間をぶっ殺して回るのは極左っぽい感じですね。実際劇中でも、「お前は根性なしの左翼か」(大意)みたいなことを言われてたか。


多くの人種と価値観が存在するアメリカ(つっても都市部だけかも)が、不寛容になってしまったのを、脚本家と監督は嘆いている。それは例えばFOXニュースとネオコンのせいか。


「や〜ね〜、アメリカって」と思ったあなた。日本だって同じようなものですよ。もしかしたら、アメリカより酷いかも。日本じゃまだおおっぴらに同性愛者であることすら表明できないですよね。国会議員とかで同性愛者であることを公表している人っているのかな?その癖、おネエタレントとかいうくくりが存在して(まあ、ゲイじゃない人だっているでしょうけど)、その人が同性愛者であることや、異形としての存在というかを切り売りしてるわけでしょ。


あとは、こう、単純に意見が違う人の全人格を否定するような風潮ってのもありまさあね。だから、盲目的に好きで崇拝すらしている人と意見が対立している人を口汚く罵り、徹底的に攻撃しちゃう人がいる。


でもねえ、私がついこの前までそうだったから分かるけど、盲信って楽だからねえ。まして、盲信の対象が圧倒的で攻撃的であればなおさらですよ。「この人のここには賛同できるけど、あそこはちょっと賛同できない」って、意外と難しいのかも。っていうか、難しい。「大人」ならできて当然なんだけど。おれたちゃみんなお子様なのか。


何というか、「自分とは違う意見を持つ人が存在する」からと言って「その人はおれの敵である」ってわけじゃない。みんな、私も頑張るから、一緒に大人の階段上ろうぜ。


…と、真面目ぶった話はここまで。


主演のフランクはビル・マーレイの弟のジョエル・マーレイ。ビル・マーレイに弟がいて、しかも役者だとは知らなんだ。ビル・マーレイは最近頬がこけてきてて、深刻っぽい役も多いから、恰幅のいい弟の方が適役だったね。もっとも、ギャラ払えないから弟になったっていう線もあるけど。


変な女子高生役はタラ・ライン・バーって人。可愛い。『ゾンビランド』に出てきた姉妹の妹の方かな?と思って調べてみたけど、違いました。今どきの高校生に、『俺たちに明日はない』を見てて、アリス・クーパーが好きな子がいるとは思えないけど、全然いいです。


さて、次は『東映まんがまつり』じゃないや『アベンジャーズ』を楽しむために借りてきてる『キャプテン・アメリカ』見ないと。123分もあるから元気がないと見られない。



主観的面白さ;★★★/5