拝啓、でんこちゃん

こんばんは。ちょっと元気があるので、久しぶりに色々以外の日記を書いてみます。最終的にはでんこちゃん、否、電気のお話になるはずです。


私は高校生の時分から熱心な小林よしのりさんの『ゴーマニズム宣言』ファンだった、ということはこの日記に何度となく書いてきた。まだ「SPA!」に連載されていた頃から好きだったのだ。最近の『ゴー〜』しかご存じない方は小林さんがかつてゴリゴリの「サヨク」だったことを知らないかもしれませんが、昔はそうだったんですよ。慰安婦問題の頃から、というか、薬害エイズ問題で酷い目に遭った(内部で;『脱正義論』は今の急進的な反原発運動やってる人に読ませて目を覚まさせたい)頃から変わってきましたね。


私は、小林よしのりさんの変節を割と素直に受け止めて、その思想が左から右に振れるのに合わせて私の頭もそういう考えになりました。というのも、私が小中学校で勉強したのは日教組的は歴史観の教師が日教組的な教科書を使った社会科であり歴史であったので、そういうことを教えられてきたところへ、「いやいや、日本は必ずしも悪ではなかった。っていうかむしろいいことをした」ってことを聞かされりゃ少しは快哉を叫びたくなりませんか?


まあ、私はなったんですよ。『戦争論』シリーズ3冊どっぷり読んで、今で言う「ネトウヨ」みたいな感じになってたかも。その後、変なバランス感覚を発揮して、「悪いことばかりもしてなかったけど、全てがいいことだったってわけじゃねんじゃね?」というしょうもない境地にしか達しませんでした。


前フリはまだ続きます。


今、「SAPIO」で連載されている『ゴー〜』はサブタイトルが「脱原発論」となっています。誌上でも、他の書籍でも、小林よしのりさんは「原子力発電所は危険で、核ミサイルは安全」ということを言っていて(管理の面で、ってことね)、保守が言い続けてきた「原発は核ミサイルを作るための原料及び技術的な担保になっているから必要なのだー」って話を「実際に配備するためには技術開発もいるし(自前でやるなら)それには何年もかかんだから、明日核ミサイルが北朝鮮から飛んできたってそんな原料には何の意味もねーんだよ(大意)!」と退けてんですよ。


ここまでは、いいです。ただですねえ、今年に入ってから、「原発はなくても全然やって行ける。わし(小林さんの一人称)が学生だった昭和40年代に、九州には原発なんてなかったが、全く問題はなかったし、現に今(原発稼働が一時的に0になった当時)も大丈夫じゃん」ってことを言いだしてるんですね。


他にも、ICRPを敵視して、ECRRの基準を信じているような様子もあって(この二つの団体については、Google先生に訊いてください)、今まで「自分で勉強した知識やデータを元に自らの意見を形作ってきた(大意)」という人がやるにはいかにもお粗末であるなあと感じるのです。冷静さを欠いているというか、「原発はすぐに廃止。あと、被曝のレベルもマジヤバい」という結論ありきというかね。どうしちゃったのかなあ。


ここで、ようやく本題に入ります。「昔は原発なんてなかったんだから、今でも必要ねえ」という論法は、一見すると正しいんですよ。うっかり首肯しちゃいそうになるでしょ。でも、電力需要ってやつは昔と今とは比べ物にならんのですよ。詳しくは、下のリンクを見ていただきたいです。引用元は2011年のエネルギー白書です。


http://p.tl/176N


ここのページの一番最初のグラフです。30年前と今では、電力消費が2倍以上違うんですね。


そりゃあ当然といえば当然です。小林よしのりさんが学生の頃は、クーラーなんて贅沢品だったとおっしゃってましたから、今に比べて家電が普及してなかったわけです。私の今の自宅には寝室とリビングに一台ずつエアコンがあります。


電気はありとあらゆる物のエネルギー源です。冷蔵庫、洗濯機、掃除機、テレビ、HDDレコーダ、電子レンジ、コンピュータ、空気清浄機。私の家にもこれだけのものがあります。都市部では石油ファンヒーターを賃貸住宅で使うことは難しいですしね。


何が言いたいかといえば、小林よしのりさんはああ言うけど、夏場の電力需給ってのはのっぴきならないんじゃないかと。そういうことです。「足りないなら、去年の夏みたいに輪番停電すりゃあいいんじゃあ!」という向きもあるでしょうが、電気がないことが死に直結する人というのは相当数いますよ。お年寄りは勿論、病院で色んな機械で病状をモニターしたり生命を維持するための機械というのは当然電気で動いてます。自家発電があるところはいいですが、ないところだって多いでしょう。医療や介護の現場はそうなるともの凄く疲弊すると思うんですけどね。


だので、対策を講じたうえで原発を再稼働するというのは現実的な線なのか、という風に考えてます。あと、山形浩生さんが言っていたように、(廃炉のためのプロセスや核燃料廃棄物の貯蔵方法について早急に色々やんなきゃいけない状況だから)原子力の研究にはバシバシと予算をつけてやんなさい、とも思う。


・・・というの以上の文章のうち、私が自力で調べたのは電力消費量の推移だけですよ。あとの、電気がないと死んじゃう人が沢山いるよ、とか、原子力の研究にもっとお金を使おう、という話は大体Twitterとネットからでした。


まるで、一端のことを言ってるような気になるから、気をつけなければならんねえ。



草々