演劇の感想とか。『深呼吸する惑星』(第三舞台)

先日、第三舞台の封印解除・解散公演の『深呼吸する惑星』を観劇してきた。鴻上尚史さんの主宰する第三舞台は、80年代の所謂小劇場ブームを牽引した劇団で、2001年に『ファントムペイン』という作品を上演した際「10年間活動を停止する」旨を発表し、今年がその封印解除の年であったのだ。結局、この公演をもって解散してしまうのであるが。


お話は。ある葬式の後、会社に向かおうと路上で車を待っている時に上司と部下が「死んだ人間の書いていたブログやSNSのアカウントはその死後どうなるのか?」について話をしている。上司は最近みつけた、あるブログに掲載されているSF小説『深呼吸する惑星』を読み始める。


SF小説の舞台は、遙か未来。地球が銀河系の惑星を植民地化し、地球と政治的に敵対する勢力と覇権を争っており、力のない惑星はどちらかの勢力下に入り、庇護されている。辺境の惑星に、地球軍兵士の自殺要因調査の目的で地球から軍のエリートがやって来て・・・。


第三舞台のウェブサイトには、鴻上尚史さんのこんな文章が載っている。


「(前略)僕はなんとか生きてきました。
 そして、10年前の思いを実現しようと、封印を解除しました。

 年を重ねて来た自分達の人生を描きたいという思いと、
 今を生きてるという現実を描きたいという気持ちと、
 10年ぶりにメンバーと芝居を創りたいという熱意とともに、
 公演をやろうと決めました。(後略)」


上の引用にあるように、この作品には「自分達の人生」と「現実」がふんだんに盛り込まれていました。それらの「こと」が色んな要素になり物語を作り上げており、しかしながら「この要素は現実におけるアレのことだな」と頭の悪い私にも分かるような、親切な作りになってました。


ここで私の理解を開陳しても仕方ないですし、いたずらにネタバレすると色々うるさいので書きません。


で。何を書くか。10年経ったのか。そういうことです。10年前といえば、私は翌年からさる企業で働くことが決まっていた、ただの大学5年生でした。それから大学を卒業し、就職し、抑鬱神経症になり、会社を休職し、刺青を入れ、福岡に戻り、弟が自殺し、会社都合で退職し、行政書士資格を取得し、また東京に来て、いま、まだ生きている。ついでに、まだ素人童貞だ。


そして、おれはまだ、死んだ弟の書いていた膨大な量のブログを読めずにいる。mixiのアカウントも運営者に削除を求めず、弟のマイミクシィの数が徐々に減っていくごとに、月日が流れているのを感じる。携帯電話の番号の登録だって消していない。いつか、ブログを読み、番号を消す日がくるのか、まだ分からない。


話は変わるが、10年ともなるとそれなりに出来事がありますね。ただ、1年が短いなあと感ずるのと同様、10年ってのも何となく経っちまうもんなんだよな。まあ、何が言いたいかってえと、何か、だらだらしてるうちに年取って死んじゃうよねえ、ってことですよ。そもそも年取って死ぬならまだしも、地球を攻めてきた悪魔超人(最近だと真・完璧超人か?)に明日殺されるかもしれないわけだし。


中川いさみ先生も『ストラト!』でおっしゃっているとおり、「老後」なんてねえわけですよ。バカが考えることだよ、「老後」なんてよお。いまやりてえことやらなくて、何の人生か。
なるかならないかは分からない。でも、やるんだよ!


っておれ、何したいのかな。ぼんやりとじゃなくて、ちゃんと考えるべきだぞ。


・やりたくないことは絶対に、絶対にやらない。
・仕事はこれ以上絶対に忙しくしない。
・恋人を作りたい。
・テニス巧くなりたい。
・漫画、本、CDを心置きなく買いたい。
・教養を身につけたい。
・海外旅行に行きたい。
・自転車で長旅したい。
・ダイビングしたい。
・登山したい。
・キックボクシングしたい。
・カッコ良く泳ぎたい。
・一部のゲームをしたい。
・事業をやりたい。
・旨い酒を飲みたい。


おいおい・・・。こんなもんかよ?ちきしょう。まだまだやれんだろ?



主観的面白さ:★★★★/5