私はKIRIN

2週間ぶりのテニススクールだったので疲れた。


あ、今日の日記本文は性に関するものなのでそういうのが嫌いな人は読まないでください。










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今日はお客さんと入国管理局に出頭する日で、長時間待つことが分かっていたので道中でまた「SAPIO」を買ったのだった。いつも通り『ゴーマニズム宣言』を読んで、特集をパラパラ読んで、更に時間が余ったので落合信彦の連載まで読んで、そんで最後の最後に表紙のアオリにもあった「発情するニッポン!『セックス特集』狂騒曲の行方」ってのを読んだのよ。


まあ保守系の雑誌だから、世に氾濫する(特に女性誌の)そういうマニュアルってどうなのよとか、秋葉原に大人のおもちゃビルができたから森永卓郎に取材に行かせるとか、精神科医和田秀樹に他人のセックスを気にする女性の心理を分析させたりしてるわけだ。


笑っちゃったのは、みうらじゅんが寄稿してたことね。記事の内容じゃなく、その事実が妙におかしくてさ。だって、「ガロ」だよ?それが天下の小学館様のオピニオン誌に寄稿だもん。まあ、記事の内容も面白かったけどさ。


でだ。ようやく本題なんだけど、この、みうらじゅん(以下、面倒だから彼の自称「MJ」と書く)の記事は普通に考えたらちょっとアレな女性誌の特集記事の見出等を集めて、MJがコメントするってものだった。あんまり面白かったから見出を全部引用しちゃいます。


「an・an」
①感度がアップして、しかもキレイになれちゃう?膣トレーニングBOOK
②つり革の握り方は、その男性の得意とする体位を表しているのは知られざる事実です


婦人公論
③”感じる”カラダになるヨガレッスン


AERA
サブプライムEDで『総レス時代』になる
⑤『草食VS非草食』『野球VSサッカー』『転職VS非転職』の意外な相違


「美STORY」
⑥セックスするとカラダがキレイになるって本当ですか?

うーん。凄い。何だかよく分からないことになっている。私は中吊広告を見るのが趣味なのに全く捕捉しきれていなかった。


①は、いきなり凄いよね。本文の後半、①とはちょっと離れたところで、MJはこう書いていた。


「だいたいにして、『膣トレ』と聞いただけで男は萎えるものなんです。『私、膣トレやってんだ』って言われたら困るよね。ブルース・リーもいきなり強いからかっこいいんであって、トレーニングは隠れてやるもんで、見て見ぬふりをするしかないですよね。ガラっと開けたら膣トレやってたとして、それが膣トレかどうか僕にはわかりませんけどね。やっこさんたち、何をやってるのかわかんないですよ!」


確かになあ。何というか、「男性器はでかいほうがいい」神話と同じく「女性器は締まるほうがいい」神話ってあるよね。この、「男性器〜」神話についてままた別の機会に書きたい。


②なんて、オカルトでしょ。「ムー」か?たま出版の社長が「TVタックル」で「いや、もう金星人は地球に来てて、しかもそいつはブッシュの側近なんだって!」って言ってる感じ。


③。お堅い雑誌なのにこんなことをやっちゃうのね。やっぱりヨガだけに…と全くダメなオヤジ発想を書きそうになりましたが自粛します。


④と⑤。よく分からん。


⑥。これ、まあ見出だけ読めば意外と普通なんですけど、「STORY」って40代セレブリティの読む雑誌なんだよね。いや、別に40代は性交するな、とは言わないけど何というかね、こう、この雑誌の「美」への執着って凄いよね。この場合の「美」って女性同士で競うモノになっちゃってんのが興味深い。これも覚えてたら別の機会に。


ああ。⑥は記事の最後に出てきたんだけど、MJはこう言っていた。


「最後に、いまだ信奉されている『セックスできれいになる』についても触れておきましょう。(中略)『MORE』でも『セックスでキレイになる』は本当だった!とやっておりますが、あのね、間違いだから。『セックスで機嫌がよくなる』はあるよ。それはあります。『キレイ』じゃなくて『キゲン』の誤植なんですって!ここだけは早く覚えていただきたいものです。」


ははあ。そういうもんかもねえ。「キレイ」の定義が曖昧だから、実際にそうなのかは確かめようがないしな。それに、女性誌ってすぐに「セックスすると女性ホルモンがどうの」とか「βエンドルフィンがどうの」とか医学的な話をするけど、女性ホルモンって出りゃ出ただけいいものなんだろうか?エンドルフィンなんて別に性交しなくても他に出す方法はいくらでもあると思うんだけど。ってそもそもそういうもんが最中に出てるのかは私は知らん。キンゼイレポートでも読めば書いてあるのかもしれんが。


と、ここでまた更なる佳境に入る。戦前から現在までの性に対する歴史的社会的な認識の変遷の経緯は置いといて、私が中学に上がる頃に世の中には(というか当時の私の感じていた「世間」では)「いつまでも童貞・処女でいるのは恥ずかしいこと=性的に早熟なことはいいことだ」という風潮があった。というか、今もあるだろうし、もっと苛烈なんだろうな。


早期に性交を経験した人間はそうでない人間をある意味で下に見ていた(又は、いる)。で、これを、学力が劣る奴等が何とか別の場所で優位性を保とうとしているだけだという見方もできなくはないんだろうが、私には実際のところは分からん。データもないし。


約20年ほど前からの社会的な風潮として、通称「ヤラハタ」というものがある。性交を経験せずに20歳を迎えるということだ。無論これは、「だめ」を表している。で。はたと思うわけである。「あー、おれ、童貞なのに20歳だわ。だめなんだなあ」って。


うーん。これ、だめなんだろうか?いや、その議論以前にね、だめなんだなーって刷り込みがまあ凄いわけですよ。今更隠すこともないので私のことを書けば、私は俗にいう素人童貞かつ、最近のスラングで言えばKIRIN(ネットで調べてね)なんだけど、これ、未だにだめなのかなーって思うもの。


柏木ハルコが「スピリッツ」で連載していた『花園メリーゴーランド』では、結婚している女性が男子に性交の手ほどきをする、という夜這いの一種の習俗の残る村が出てきたが、言うまでもなく、東京にはそんな慣習などないわけで。


ああ、とっちらかってきたな。個人的にはですね、プロの方にお相手をしていただける男性の方が、「通過儀礼」としての性交を経験できる分まだマシなのかもなーとも思う。女性向けのそういうサービスがあるか私は寡聞にして知らない。だから、恐らく女性は男性以上に無駄に悩んでいる人の数が多いのではないか。


21世紀にもなってまた封建的な価値観に戻るというのは土台無理な話なので、もうどうしようもないですな。こうなったら大っぴらに言うってのも一つの手だ。ハゲも人に言われれば肚がたつが、自分で言えばネタになる。って今の世の中で童貞がネタになるのか知らねえけどな。会社に入ってからうんこ漏らしたことがある、とか人に話してた私だが、流石にKIRINの話は言うのがためらわれたね。でもこれからはバンバン人に話してこーっと。


最後になりますが。私は、世間の刷り込みのせいもあると思いますが、女性と交際したいと思ってはいるんですよ。思ってはね。人生、上手くはいかないもんですなー。ってこれ、私の親族のうち、一親等の方も読んでるんだけど、こんなこと書いて心配になりはしないか。もう遅いか。