『サイタマノラッパー』

漫喫で『GIANT KILLING』の15・16巻を読んだ。あと『バチバチ』も全巻読んだ。両方とも連載と繋がった。更に『進撃の巨人』も1巻を読んだ。面白い。続きが気になる。


前から気になってたんだけど、ようやくレンタル解禁になっていたので、借りたよ。なかなか見つからなかったから危うく『昆虫探偵』を借りかけたけど、何とか見つかりました。予告↓


お話は。埼玉県福谷市(恐らく深谷市をもじった名前)で、ラップグループとして成功を夢見る少年達は初めてライブをやることになるが、高校を中退して東京でAV女優になった幼馴染が地元に帰ってきて、何かグループ内がギクシャクし始めて…というもの。


81分と短い映画だった。でも面白かった。長くしようとしたなら、あと20分くらい平気で伸ばすことはできたでしょうが。聞けば、予算が物凄く厳しかったようなので、経済的な要因で撮影できなかったシーンとかがあったのかもしれない。しかし、余計なこと言わずに(回想シーンなどは一切なし)見る側に想像させる余地を残してくれたのが、結果的に良かったのかなーとも思う。


ラップで成功する、というのが主人公の夢なのですが、同じような夢を持っている人は世に掃いて捨てるほどいるし、まして埼玉の片田舎で暮らしながらそんな道が拓けるわけもなく。


私は生まれは福岡ですが、物心ついたときから東京に住んでいるので、「東京に出る」という感覚がどんなものなのか、正直言ってあんまりピンとこない。ただ、芸能界だとか、音楽業界だとか、演劇界だとか、映画界だとか、そういうところで活躍する人々は地方から出てきた人も多い。


無論、芸能界っぽいとこで成功したいと思っている人間全てが活躍できるほど世の中は巧くできていないので、夢破れて故郷に戻る人間がほとんどだろうし、仮に戻らないとしても東京の「日常」に絡め取られて夢を諦めることになるだろう。


ちょっとこの映画の話とズレるかもしれないが、夢を成就させるために一生懸命努力しても報われないことがある、というのがこの世の中なんである。「ことがある」というより、この世の努力のほぼ全てが報われないのよ。


「頑張れば夢は叶う」「諦めなければ夢は叶う」だとか綺麗事ばかりが氾濫しているが、注意しなければならないのは、そんなことを言ってるのは結果的に努力が実った奴らだけだという点ですよ。何千何万という人の屍を乗り越えて成功した奴の言葉はある意味では重いのかもしれないが、だからといってそれが正しいことだとは限らない。屍が話を聞かれることは決してないからだ。


「なりたい」と思って努力をする人は素晴らしい。例えその努力が実を結ばなくてもだ。きっとその過程で得られるものがあるはずで、もしかしたら別の夢が見つかるかもしれない。最も唾棄すべきは、本当はなりたいものがある癖に何かと理由をつけては無為に過ごし、努力をしている人をバカにするような奴である。


この映画の主人公はだめなところもあるが、易きに流れず努力しようとしている。そこがいいなあ、と思った。


その道は先に続いていないかもしれない。が、行き止まりかどうかは実際に歩いてみないと分からない。行き止まりだったら別の道を探せばいいではないか。行き止まりであることを恐れて前に進まない奴らはクズである。


ほとんどの人はやりたいことをやる人ではない。できることをやる人なのだ。


あー、そう言えば、みひろが出てますね。AV女優の。私はラーメンの味の善し悪しと演技の善し悪しは全く分かりませんが、良かったと思います。エロビデオだと過度に妹キャラっぽいというかカマトトっぽい感じがしてたのですが、特に違和感なし。はい。この映画での演技が評価されたのか何なのか、自伝映画っぽいのも作られたようだけども、それはちょっと理解できかねるのお。


主観的面白さ:★★★★/5