演劇の感想とか。『天使は瞳を閉じて』(虚構の劇団)

しかし、アレですな。今年は日記を書けてませんなあ。いつ最後に演劇を観たかすぐに分かってしまった。それにしても、『母を逃がす』(大人計画)を観に行ったのは今年のことだとばかり思っていたが、気のせいだったか?あるいは感想を書いてないのかもしれん。分からんな。


まあ、正直に言えばだ。この作品を観に行こうと思ったのは、第三舞台鴻上尚史さんが上演した演目の再演だったからだ。もう、ただ、それだけ。


あ。あとね、こんな私の感想を読んで観に行くか行かないかを決めるのはよしたほうがいい。何しろ私は学もない恋人もいない稼ぎもほぼない自営業の素人童貞で、今日も劇場から家までの間に2回も拾い食いをしてお腹が急降下中のしょうもない人間だからだ。


お話は。すごく未来または平行宇宙にある日本と思しき(と特定できる材料があったかは思い出せん)国のさる原発が事故で今の福島第一原発っぽい状況になる。原発から30km圏内は立ち入り禁止になるが、そのギリギリのタイミングで各々の事情を抱えた人間がやってくる。で、一悶着あった末にまんまとその30km圏内に入ることに成功するが、入ってまもなく、その人間たちは(なんか超科学っぽい放射能を通さない)「透明な壁」によって閉じ込められてしまう。ギリギリで入って来た人間は、待避しなかった人間と壁の中で暮らし始めるが、後年、世界中の原発が爆発したんだか核戦争が起きたかして、その中以外の人間は全員死んでしまって・・・というもの。あと、天使もでてくるよ。当たり前か。


話の顛末について書くとやれネタバレだとか何だとかわーわー騒ぐ輩がいるから書かない。


で、感想か。んー。まあまあ面白かったです。などと書くと、では「面白さとは一体何なのか」という問いに行き着いてしまうのでできれば書きたくない。しかし、ここで「まあまあでした」と書くにとどめると更に曖昧模糊となってしまうのでそれをやや避けるために書いた。


面白い、という単語の意味を辞書で調べると。


1 興味をそそられて、心が引かれるさま。興味深い。「何か―・いことはないか」「仕事が―・くなってきた」
2 つい笑いたくなるさま。こっけいだ。「この漫画はなんとも―・い」


3以下も説明があるが、特に今日の話とは関係ないので割愛。


普段、ある映画や小説を鑑賞した人に、「あの○○面白かった?」と何の気なしに訊くとき、人は大抵「1」の意味合いで質問するのではなかろうか。で、対する答えが「うん、面白かったよ」であるとき、それは「結末がどうなるか、ハラハラした」であるとか、「登場人物に大変に感情移入してしまい、話に没入した」であるとか、「何だかよく分からんがスカッとした」であるとか、・・・ぬ?3つめで既にぼんやりしとるではないか。とにかく、その3つは何となくあるでしょ!


確かにコメディ映画なら「2」の意味で面白い、ということもあるけども、ただの小ボケの連続の映画(あまり言いたくはないが『オースティン・パワーズ;ゴールドメンバー』)を観た後に胸を張って「面白い」と言えるかはやや微妙ではないか。


何が言いたいかというとだ、ワトスンくん。「1」の意味でも「2」の意味でも「まあまあ」だったということだよ。


「1」で言えばですね、この作品が書かれた当時の社会的な状況や他のアニメとか映画とかのことが頭に浮かんでしまい「ああ、これはアレと関係あるのかな。コレはアレかな」と考えが飛んじゃうのよね。単に私の集中力が足りない、というせいもあるんだろうが。「壁に囲まれた場所から出ることができない」って設定は果たしてオリジナルにあるものなのか私は知らないが、それ、モロに『進撃の巨人』だし、本作の台詞にも「巨人がどうの」っていうのあったし。


「2」はなあ。これ、演じる方の人の問題なのか、脚本の問題なのか、私には分かりません。贔屓目に見ても「客席が爆笑」の瞬間は皆無でしたよ。終始「ややウケ」くらいですかね。ただ、この「客席が爆笑」が達成されても『母を逃がす』のように(私を含めた)観客が結局何を読み取ればいいのかが一見しただけでは分からんものだってあるわけで、受けてりゃいいってもんじゃあないよな。


最後の最後にやや「感想」から逸脱するようなことを書くが、虚構の劇団の第一回公演『グローブジャングル』が面白かったので、何度か(んー、全部数えて5回目かなあ)観に行ってます。だからいい加減どういう人が劇団にいるかは分かってきてます。顔と名前が一致する人はほぼいないけどね。


で。何かね。こう、「この人はこういう感じの役やりそうだなー」って役を実際やってるわけですよ。そりゃ別に百面相の如き役者に全員がならなくちゃいかんということはなかろうし、「それっぽい役」をやって悪い訳はないんだけど、やや腑に落ちない。気がする。ってまあそれも含めて鴻上さんの考えかもしれないし。分からんね。


主観的面白さ:★★★/5